やけど
やけどは、日常生活において最もよく見られる外傷のひとつです。てんぷら油、やかんやポットの熱湯、コーヒーやお茶、カップ麺のスープなど高温の液体が体にかかると、熱傷が起こってしまいます。ストーブやアイロンなどが手などに接触したときも、皮膚に影響がでます。比較的に軽度の場合は、徐々に皮膚が元の状態に近づくこともありますが、患者さんによってはケロイドになってしまうこともあります。なお、50度前後のそれほど熱くないものでも長時間皮膚に触れると、やけどを起こします。このようなやけどは「低温熱傷」と呼ばれます。
やけどの分類
やけどは深さによって、傷害が表皮までのⅠ度熱傷、真皮まで達したⅡ度熱傷、皮下組織まで達したⅢ度熱傷に分類されます。このうちⅠ度熱傷の場合は、赤みやヒリヒリした状態のやけどなので、数日で軽快します。基本的には乾燥を予防する軟膏やクリームを塗布して治療します。ただし、患部の範囲が小さくてもかぶれや細菌感染を起こしやすいので要注意です。
Ⅱ度熱傷は、水ぶくれができるのが特徴的で、赤みや痛みがあります。水ぶくれが割れてしまった場合は、シャワーと石鹸で患部を洗い、清潔にすることが大切です。また、痛みなどが強いときは、早急に医療機関で適切な処置を受けるようにしてください。なお、Ⅲ度に達するやけどは、後遺症が残るリスクが高いので、速やかに医療機関を受診してください。
切り傷
ガラスや刃物といった鋭い器物による体表の創傷のことを「切り傷(切創)」と言います。傷口が鋭く切断されているため、周辺組織につぶれがみられないことが特徴です。すり傷と同じように切り傷も日常的によく起こるけがですが、損傷した組織の深さや幅によって重症度は違っていき、人によっては神経や骨などにダメージが及んでいることもあります。
治療に関していうと、神経や骨に影響がでているとき、出血が多量のときは、早急に縫合の処置などを検討します。傷口にサビや土などが残っていると、破傷風などの感染症を発症することもあるので、必要に応じて抗生剤を投与します。なお、当院では、ほかの医療機関で外科手術を受けた患者さんについても、抜糸を行うことができます。希望される方は、お気軽に当院をご受診ください。
きれいに治すための応急処置
包丁などで手を切ってしまったら
まずは水道の流水でよく洗い、汚れをしっかり流してください。その後、清潔なガーゼやタオルで傷口を3〜5分ほどしっかり押さえて止血します。
傷が浅く、自然に閉じそうな場合は、そのまま絆創膏やテープで固定し、ガーゼや包帯を軽く巻いて保護してください。
傷が深い場合や出血が止まらない場合は、当院を受診してください。
皮膚がむけたり、そいでしまった場合
スライサーなどで皮膚が剥けてしまったら、まずは流水で傷をよく洗い、ガーゼや包帯で軽く圧迫して止血します。
剥けてしまった皮膚が見つかれば、乾かないようにガーゼに包み、一緒に当院へ持参してください。
皮膚が部分的に残っている場合は、元の位置に戻し、テープなどで固定するだけで回復することもあります。
ただし、傷が深い場合や関節付近などよく動く部位は医療処置が必要になることがあります。
顔や頭をぶつけて出血したら
テレビ台やドアなどにおでこをぶつけて切ってしまった場合、出血量が多くても落ち着いて対応しましょう。
清潔なタオルやガーゼをあて、傷の真上を3〜5分しっかり押さえて止血します。
※指の根元を縛るなどの行為は絶対に行わないでください。
転んで擦り傷ができたら
膝や肘などに砂やゴミが入ることがありますので、まずは水道の流水でしっかり洗い流しましょう。
少しくらい出血しても構いません。とにかく早く、きれいに洗うことが大切です。
洗ったあとは、清潔なガーゼやタオルを当てて、手で軽く押さえるか包帯で固定し、そのまま当院へお越しください。
とげが刺さったとき
とげ・クギ・ガラス片などが皮膚に刺さった場合、自分で抜いても一部が皮膚の中に残ってしまうことがあります。
異物が残っていると、後から腫れや痛みが出てくる可能性があるため注意が必要です。
無理に抜かずに、異物が刺さった状態のまま当院へお越しください。
やけどをしたとき
熱湯や火、熱い物に触れてしまった場合は、すぐに冷やすことが最優先です。
流水で10〜15分ほど冷やすのが目安です。氷は冷やしすぎる恐れがあるため使用は控えましょう。
衣類の上から熱い物がかかった場合は、無理に服を脱がず、そのまま上から冷やしてください。
無理に脱ぐと皮膚が剥がれてしまうことがあります。冷やしたあとも痛みが続く場合は、すぐに当院へお越しください。